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IPv6を使っても効果が出ないと感じると、無効化したほうがいいのではと考えますよね。
IPv6はもともと通信プロトコルの一種でしかなく、通信速度を向上するツールというわけではありません。
IPv6の効果が感じられない場合は無効化も選択肢の1つですが、別のIPv6対応プロバイダへ乗り換えると状況が改善する可能性もあるので慎重に考えましょう。
ここではIPv6を無効化するメリットとデメリットを紹介し、無効にする設定方法をメインに解説していきます。
また、IPv6の効果が得られない原因についてもご説明しますので、IPv6を使う意味がないと感じている人はぜひご覧ください。
IPv6の無効化とは
IPv6を無効化するとどうなるかを知るには、通信プロトコルや接続方式について理解する必要があります。
仕組みを理解すれば、IPv6を無効化するとどうなるかがわかりやすくなります。
IPv6はIPv4とは異なるプロトコル
IPv6とIPv4はどちらもIPアドレスを発行するときに用いられるインターネット通信プロトコル、わかりやすく説明するとIPアドレスを発行するシステムです。
インターネットを使うには、情報の送受信元の住所となるIPアドレスをプロバイダから発行してもらわなければいけません。
IPアドレスの発行はIPv6とIPv4で成り立っています。
以前までIPアドレスを発行するシステムはIPv4しか使われていませんでした。
しかし、在庫数には約43億個までと上限があり、2011年11月31日の時点で(アメリカの国政調査局の推測だと2012年3月12日頃)世界の人口が70億人に達したことで不足が問題視されるようになりました。
IPv6はIPアドレスの不足問題を解消するために運用がはじまったプロトコルです。
IPv6でのIPアドレスの在庫数は約340澗個と膨大なので、ユーザーに浸透すれば不足問題を解決が見込めます。
IPv6とIPv4には利用できる接続方式にも違いがある
IPv6とIPv4では利用可能な接続方式にも違いがあります。
IPv4ではPPPoE方式しか利用できませんでしたが、IPv6ではIPoEとPPPoEが利用可能となっています。
PPPoEとIPoEの違いはインターネットにアクセスする経路です。
PPPoE方式ではプロバイダを経由するので、利用者が増えると通信速度が低下しやすい不安要素がありました。
IPoE方式ではプロバイダを経由しないので、通信速度が利用者の数に左右されにくいメリットがあります。
※IPoE方式とPPPoE方式のイメージ。
PPPoEとIPoEのどちらを使うかは、夜の時間帯での通信速度に影響を与える要素です。
夜はインターネットを使う人が増えるので、利用者の数による影響を受けやすいPPPoEを使うと夜に通信速度が低下しやすくなります。
IPoEは利用者の数による影響を受けにくいので、夜になっても通信速度が安定しやすいです。
影響を受けたとしても不便に感じるほどの速度低下は起きません。
アクセスできるサイトの数も違う
インターネットを利用するときはユーザーとサイトの提供元が同じプロトコルを用いなければいけないので、IPv6とIPv4とではアクセスできるサイトの数に違いが生じています。
2019年6月時点ではIPv6に対応しているサイトは少なく、ほとんどのサイトはIPv4にのみ対応している状況です。
IPv4を使ったほうがアクセスできるサイトの幅が広くなることになり、IPv6を有効にしてもIPv4のみ対応のサイトにアクセスすると通信速度が安定しないのではと思いますよね。
しかし、IPv6を有効にしてV6プラスやそれと同等の機能を使うと話は変わってきます。
V6プラスではIPoE方式で接続してIPv6とIPv4が併用できる機能で、活用するとどのサイトにアクセスするときも安定した通信速度を維持できます。
IPv6を無効化するとIPv4のみでの接続する状態になる
今まで紹介したIPv6とIPv4の違いを踏まえると、IPv6を無効化すると以下の状態になります。
- IPv4のIPアドレスだけが利用可能になる
- 利用できる接続方式がPPPoEのみになる
- IPv4対応サイトしか見られなくなる
IPv4でのIPアドレスしか利用できなくなる点はさほど問題ではありません。
ですが、PPPoE方式でしかインターネットに接続できなくなると通信速度の安定性が下がるので大きなネックになり得ます。
IPv6を無効化するデメリット
IPv6を無効化すると以下のデメリットを被ります。
- 通信速度が低下しやすくなる
- IPv6のみに対応したサイトが見られなくなる
上記のデメリットはインターネットの使い心地を大きく左右する要素になります。
通信速度が低下しやすくなる
IPv6を無効化すると、通信速度が低下する可能性を高くしてしまいます。
IPv6を無効化すると利用できる接続方式がPPPoEだけになるからです。
通信速度を安定させられるIPoE方式はあくまでIPv6を有効にした状態でのみ利用できる機能です。
V6プラスに対応した環境を導入していてもIPv6を無効にするとPPPoE方式でしかインターネットに接続できなくなります。
先ほど説明した通りPPPoEではプロバイダを経由するので、利用者が増える夜になると混雑の煽りを受けて速度低下が起きる恐れは免れません。
IPv6のみに対応したサイトが見られなくなる
IPv6を無効化するとIPv6にのみ対応したサイトにアクセスできなくなるデメリットも発生します。
現時点ではIPv6対応サイトは少ないので無効化しても大きなデメリットを感じません。
ですが、IPv6への普及は進みつつあるので、無効にするとアクセスできないサイトのほうが多くなる日が来るのも現実味を帯びてきています。
IPv6を無効化するメリットはほとんどない
IPv6を無効化すると機能性が著しく下がるデメリットが生じるので、メリットはほとんどないと考えるべきです。
強いてメリットを挙げるとすれば、デバイスが第三者からの不正アクセスを受ける危険を減らせる点ぐらいです。
とはいえ、IPv6を無効化すると暗号化されていないサイトにアクセスするときに自分の情報が盗まれる危険が高まります。
なので、どちらにせよセキュリティソフトの利用などの対策は必須です。
IPv6は無効化するべきなのか?
IPv6を無効化するべきなのかは状況によりけりですが、基本的には有効にしておくのが無難です。
V6プラス・IPoE方式を使っているなら無効化は不要
契約先がV6プラスやIPoE方式が使える回線事業者やプロバイダであれば、IPv6の無効化はおすすめできません。
先ほどから説明している通り、IPv6を無効にするとV6プラスやIPoE接続が利用できなくなり通信速度の安定性が落ちるからです。
将来的にIPv6への普及が進むことを考えると、わざわざV6プラスなどの便利な機能を手放してまで無効化する意味があるとはいえません。
V6プラス・IPoE未対応のプロバイダを契約しているなら他社に乗り換えるべき
IPv6を使ったときの通信速度が遅くて無効化を考えている場合、契約プロバイダのV6プラスやIPoEの対応有無が原因ではないかを確認してみましょう。
IPv6に対応していているプロバイダのなかには、V6プラスやIPoE方式が利用できない事業者が存在しています。
V6プラスやIPoE方式が使えないのであればIPv6を有効にするメリットがないので無効にしても問題ありませんが、他の回線やプロバイダへの乗り換えを考える余地があります。
V6プラスやIPoE方式が利用できる他社へ乗り換えれば、IPv6を有効にして通信速度を速くできるからです。
インターネットの利用者が増えたことでIPv4利用時のPPPoE方式接続での通信速度は低下しやすくなっています。
V6プラスやIPoE方式接続が使えるIPv6プロバイダへの移行を考えてみて損はしません。
IPv6を無効化する設定方法
IPv6を無効化する方法は主に以下の4つです。
- ルーターのIPv6機能を無効化する
- パソコンのIPv6をオフにする
- IPv6未対応の回線・プロバイダに乗り換える
- IPv6未対応のルーターを設置する
ルーターのIPv6機能を無効化する
基本的な方法はルーターのIPv6機能を無効にすることです。
ルーターのIPv6機能を無効にすれば、契約回線やプロバイダを変更せずにIPv6が使えない状態にできます。
①インターネットに接続したデバイスでルーターの設定ツールを起動する
ルーターのIPv6機能を無効化させるときは、最初にルーターに接続しているデバイスで設定ツールを起動してください。
設定ツールの起動方法はルーターごとに違いますが、ブラウザのURL欄に所定の数値を入力するのが一般的です。
ルーターによってはスマホの専用アプリで設定が行える場合もあります。
②対象項目を選択する
設定ツールを起動できれば、メニュー画面から設定を行いましょう。
設定方法はルーターの種類ごとに異なります。
Buffalo製のルーターではメニュー画面「詳細設定」を選んでから「セキュリティ」を選択。
さらに「VPNパススルー」を選択してから「フレッツIPv6サービス対応機能」の項目からチェックを外すパターンが一般的です。
ELECOM製のルーターではメニュー画面で「WAN&LAN設定」を選びます。
そして次の画面で「WAN設定」を選択した次の画面で「IPv6ブリッジを有効にする」からチェックを外してください。
フレッツ光や光コラボでホームゲートウェイを利用している場合は、メニュー画面の右側で「詳細設定」を選択。
そのあと「高度な設定」を選び、次の画面で「IPv6ブリッジ(有線LAN)」の項目からチェックを外します。
どの種類のルーターを利用している場合も、最後に画面の下部にある「設定」を押てください。
「設定」を押すとIPv6無効化の設定が完了します。
ルーターのIPv6を無効化したらPPPoE設定登録が必要
ルーターのIPv6機能を無効にする場合、PPPoEの設定登録が必要なので注意してください。
IPv6無効時はPPPoEの設定をしておかないとインターネットを利用できなくなります。(すでに登録済みの場合は設定不要です)
ビッグローブ光を例としたPPPoE設定の登録方法をご紹介します。
基本的な流れはどの回線やプロバイダも同じです。
- ルーターに接続しているデバイスのブラウザを起動
- URL欄に回線事業者指定の数値を入力してアクセス
- 機器設定用パスワードの初期設定画面で任意のパスワードを作成して「設定」を押す
- メッセージが表示されたら「OK」を押す
- ユーザー名とパスワードの入力画面でユーザー名に「user」、パスワードに作成した機器設定用パスワードを入力
- 設定ウィザードの画面でプロバイダから発行されたユーザー名とパスワードを入力して「設定」を押す
- 接続設定画面で「UPnP優先」のボックスにチェックが入っているのを確認して「メインセッション」を押す
- メインセッションの画面で「IPアドレスの自動取得」の欄で「IPアドレスの自動取得」を選択し、「サーバから割り当てられたアドレス」の欄にある「使用する」をチェックして「設定」を押す
上記の設定が完了すれば、IPv4のみでの通信が可能になります。
PPPoE設定を入力するときはプロバイダIDとパスワードの入力が必要なので、契約した当時にもらった書類を側に用意しておきましょう。
デバイス側の設定
デバイス側のIPv6を無効化できるかは、利用しているデバイスの種類や環境ごとに異なります。
スマホ・タブレットの場合は設定が不要
スマホやタブレットでのIPv6とIPv4の切りかわりは、契約回線やプロバイダの対応状況が無線LANルーターの設定に依存するので、IPv6を無効化するときに設定をする必要はありません。
契約回線やプロバイダがIPv6未対応になっているか、無線LANルーターのIPv6機能を無効化すれば、自動的にIPv4でインターネットに接続するようになります。
契約回線やプロバイダがIPv6対応で、無線LANルーターのIPv6機能を有効にしている場合、スマホやタブレットでのみIPv6を無効化することはできません。
Windowsパソコンの場合
Windowsのパソコンを使うときだけIPv6を無効にすることも可能です。
Windows10のパソコンでは以下の手順でIPv6接続を無効化できます。
- コントロールパネルを開く
- 「ネットワークの状態とタスクの表示」をクリックする
- 接続中のネットワーク名をクリックする
- プロパティをクリックする
- 表示されたウィンドウで「インターネット プロトコル バージョン 6(TCP/IPv6)」からチェックを外す
- OKをクリック
余談ではありますが、マイクロソフトはIPv6を推奨しているので無効化はおすすめしていません。
IPv6未対応の回線・プロバイダに乗り換える
極端な方法ですが、細かい設定作業が苦手なのであれば、IPv6未対応の回線やプロバイダに乗り換える方法もありです。
IPv6未対応のプロバイダは意外と多く存在しているうえに、フレッツ光を利用している人なら回線を入れ替えずプロバイダを変えるだけでIPv6が無効の環境を作れます。
IPv6未対応のルーターを設置する
利用するルーターをIPv6未対応の機種に変えるのも1つの方法です。
ルーターをIPv6未対応モデルに変えると強制的にIPv6が無効の状態になります。
とはいえ、今はIPv6未対応ルーターの流通数は少なくなっていて、手に入れるのが難しくなりつつあります。
手に入ったとしても最新のルーターと比べてスペックが低く、Wi-Fi接続の通信速度が低下するのでおすすめはできません。